私の日記

リンク集
プロフィール

takeshi.o
20余年、メロディヤ盤レコード中心に蒐集しています。趣味でピアノを弾いています。
友人

[2008年10月26日(日) ]

以前所属していたアマチュアオーケストラの時の知人がチェロを弾く弦楽四重奏団のコンサートに行ってきました。ハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」とメンデルスゾーンの第2弦楽四重奏曲でした。

ハイドンは第2楽章がドイツ国歌の原曲となって有名なものです。第3楽章のメヌエットは如何にもハイドンのメヌエットで、交響曲においても全く同じスタイルを貫徹していることに思わずにやりとしてしまいました。端正で美しい作品です。

メンデルスゾーンのこの作品は初めて接したのですが、これほどの作品を今まで知らずにきたことに視野の狭さを痛感するとともに、まだまだ美しいものに出会える喜びと好奇心に満たされもしました。

短調で表現される深い情緒と劇的な内容そして技巧的なフーガや垣間見る美しい歌とハーモニー。メンデルスゾーンの感受性と表現力の工夫には圧倒されました。

第1楽章の憂いを帯びた深い情緒、第2楽章の慎ましいハーモニーを挟んでの激しい展開。そして第3楽章からは特に印象的な音楽でした。ピチカートの伴奏にのってまず1番ヴァイオリンが古風な旋律を奏でます。しばらくするとヴィオラが絶妙な間で入ってきて、それに反応するかの如く2番ヴァイオリンが美しいオブリガートを奏します、チェロにもソロの順番が回ってきて、歌に満ち溢れたときに4つの楽器が柔らかいハーモニーを創りだします。この古風な旋律を全員が共有しあうところまことに心憎い演出です。、その間、それぞれが交代して伴奏にまわります。四重奏がお互いを助け合って旋律を浮かび上がらせるもので、奏者の結束が問われるものです。

そして見事に深い彫琢を見せるのが第4楽章です。いきなり1番ヴァイオリンが朗唱です。小さなカデンツァのように強いインパクトです。2度繰り返されて曲は本格的に展開していきます。その過程で激しいフーガなどが表れて非常に緊張感が高まります。そして終わり近くにまたもや1番ヴァイオリンの朗唱が差し込まれます。今度はなんと無伴奏です。群れから一人突き放されたような不安げな寂しさが宙を舞う感じです。その後他の3人が寄り添うように安堵に満ちた和音を奏でて1番ヴァイオリンを包み込み朗唱を終えます。

曲全体を総括しながら大団円を迎えるなど見事なまとまりを見せた音楽で感銘深いものがありました。

この四重奏団は歌に満ち溢れています。それが素晴らしい演奏になっている原因です。楽譜に書いてある音符をたとえ正しい音程で音にしてもそれだけでは面白くも何ともありません。歌を歌うように楽器が奏でられないと音楽が豊かになりません。技量が高いという意味は、歌を歌うように楽器が奏でられているかどうかと言うことにほかならないのです。各奏者は、どうやったら歌を歌っているように楽器が奏でられるか、これを日々追及しているわけです。

この四重奏団の良いところは、主旋律だけ歌えば良いというものでもなく、オヴリガートや果てはピチカートの音符一つ一つに至るまで実に丁寧に歌っているところです。それら一つ一つの歌が4つ組み合わさると柔らかな弾力あるハーモニーになり、聴き手を安堵に導くのです。

今日の会場はオペラシティ内にある近江楽堂と言うホールだったのですが、これがまた実に豊かに響くのに驚きました。とても心地よいコンサートになりました。ここは決して広くないのですが、天井が高く、上部がドーム状になっています。その為、音が上のほうに行くと拡散して直接音を和らげる効果が発揮されています。丁度教会で聴いているような雰囲気です。アンコールにバッハの「主よ人の望みの喜びよ」を演奏してくれたのですが、まさにぴったりの選曲でした。


各奏者はアマチュアながら技量の高さには帽子を脱ぐ思いです。基本的に音楽が好きと言う集まりであり、その尊い情熱だけで、ここまで高度な音楽性を表現できるというのは、大変な刺激となりました。私も出来るうちにやりたいことをやっておこうと決意新たにした次第です。

Posted at 22:25 | この記事のURL | コメント(2)

この記事のURL

http://www.salon.kotenha.com/123/archive/8/0

コメントする

名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク

コメント

コメントありがとうございます。私も当初、室内楽作品は地味ですしほとんど関心がありませんでした。でもアマチュアのオーケストラに所属した時からその魅力に憑かれてしまいました。

合宿や団内発表会と言う催しがありまして、めいめいのパートや気の合った奏者同士で室内楽を演奏するのです。

特に名古屋の時に所属していたオーケストラでは室内楽が盛んで、よく練習に立ち会ったりしました。目の前で曲が出来上がっていく過程や楽しそうに演奏する姿に接していますと身体に深くしみつくのでしょうか。深く関心を寄せるようになりました。

モーツァルト、ハイドン、シューベルトからボロディンやドヴォルザークまで、本当にいろんな曲を愉しんでいました。そして技術のある人は、ベートーヴェンやブラームスなど、慰安的な要素の少ない厳ついレパートリーにも果敢に挑戦されていました。さすがに近代のものをやる人はいませんでしたが、そこで知った作品は多いです。

私はトロンボーンだったので有名作曲家の室内楽の作品はほとんど参加できませんでしたが、合宿などで人手不足の時はホルンのパートを端折りながら吹いたりして合奏を楽しみました。

以前レビューにかいたベートーヴェンの六重奏曲などもその時演奏して知ったものです。

私は昨日の知人の演奏を聴いて、大変な刺激を受けました。さっそくメンデルスゾーンの第2弦楽四重奏曲のレコード探しにとりかかっています。

グリンカカルテットか、タネーエフカルテットあたりが吹き込みしてくれていると嬉しいのですが。。。

メンデルスゾーンはその少し前にも知人の弦楽アンサンブルで聴いたシンフォニア8番と言うのも気にいりました。

これもバルシャイのモスクワ室内か、ゴスマンのレニングラード室内が吹き込んでいないかなあと気長に探しています。

見つかったら張り切ってレビューしたいと思います。

コメントありがとうございました。

Posted by:takeshi.o  at 2008年10月27日(月) 20:54

一般的にそれほど有名とはいえないメンデルスゾーンの楽曲に関して、詳細なご説明と所感、たいへん参考になります。
自分は弦楽四重奏とか室内楽は地味なのであまり好きで聴くほうでないのですが(恥)、同様にコンサートで聴いて「ななんと凄い曲なんだろうか」と初めてよさを知るケースは何度かあります。
プロコフィエフ、フランク、、、etc。有名な曲は最初からレコードやCDで親しめますが、そうでない曲は「生」に接して初めてその良さを知るということがありますから、やはりライブというものは大事だなぁと思います。レコード、CDでは分からない奏者の息遣い、生きた心がそのまま伝わりますから(^^)
Posted by:アクエリアス  at 2008年10月27日(月) 10:00

最新記事
最新コメント
takeshi.o
弾き納め (12/23)
kei
弾き納め (12/23)
Clover
聞いてません。 (10/31)
takeshi.o
 (10/27)
アクエリアス
 (10/27)
takeshi.o
戦慄 (10/18)
名鑑への投稿
Copyright(C) 2008 Seikodo Co., Ltd. All Rights Reserved.