
モノラル時代の英HMV盤。このレーベルに憧れた。
レコード屋に行くようになった1960年代にも、新宿のコタニ等一部の大型店では輸入盤を置いていたが、大半はアメリカ盤であり、イギリスやヨーロッパのレコードはまず見かけなかった。ましてや50年代のHMV盤なんて、お目にかかったことはなかった。
70年代になると、石丸電気等で英EMI盤も手軽に買えるようになり、ニッパー・マークの付いたEMI盤に新鮮な印象を持った。EMIが、英HMVと英コロンビアがまとまって出来た管理会社だったこと、ニッパー・マークはそのHMVの登録商標だったことなどを知ったのも、その頃のこと。そもそも、HMVが His Masters's Voice の略だということも、恥ずかしながら知らなかった。
日本では戦前提携関係にあったビクターとHMVの繋がりが切れてしまい、東芝を窓口として発売準備が整った時(1955年)、国内でのニッパー・マークはビクターが商標権を持っていたため使えず、替わりにエンジェル・マークとなった。(アメリカも、同じような状況があった)
ちなみに英コロンビア・レーベルは、戦後も日本コロムビアが販売権を持っていたが、1963年から東芝音楽工業に移り、この時にオデオン・レーベルが登場している。
中古として入ってくる輸入盤の中に、モノ時代の英HMV盤を見かけるようになり、初めてそのレーベルを目にした時、とても感動した。フル・カラー印刷のニッパー・マークは美しかったし、ジャケットなどは、曲目や演奏者ではなくこのロゴがメインになっている。やり過ぎと言えばやり過ぎ、でも、この会社が自分たちのレーベルを如何に大切にしていたか、又、誇りに思っていたかがひしひしと伝わって来た。
その後ニッパー・マークの色合いが悪くなり、白黒になり、小さな四角の中に閉じこめられたりと、ビジュアル面はどんどん悪くなって行った。