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プロフィール

chirolin
のめりこんだり、他のジャンルに浮気したり、色々ありましたが、クラシック音楽はいつも生活の通奏低音のような存在でした。付き合いの年月だけは多少あるので、記憶に残る演奏などを少しずつご紹介できれば、と考えております。よろしくお願い致します。
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音の記録(9) [2008年09月15日(月) ]
 アメリカのベル研究所でも、ステレオ録音の実験が行われていました。ここでは1931年頃より、2つのカッター・ヘッドを近接させ、縦震動にて同心円状に2チャンネル分の録音を行うという方法がとられていました(音溝は2本)。当時フィラデルフィア管弦楽団のホーム・グラウンドだったアカデミー・オブ・ミュージックにマイクを設置し、電話回線によって研究所まで電送して録音したとのことで、ストコフスキー/フィラデルフィアの演奏が数多く含まれているようです。この研究は、その後1本溝に45/45方式で録音するところまで発展しているので、この研究成果がアメリカで商品化された時のステレオ・ディスクに(カッター・ヘッドはウェストレックス社製)技術継承されたものと思われます。
 
 一方、変わり種として、クックを挙げなければなりません。エモリー・クックはモノーラル時代に「レイル・ダイナミックス」(SL録音のはしり)などのハイ・ファイ・レコードで話題を呼んでいましたが、1952年秋にアメリカのオーディオ・フェアで「バイノーラル・レコード」を発表します。これはレコード盤を外周部と内周部で2分割し、外側にLチャンネル、内側にRチャンネルを録音するというものです。当然再生にも2つのカットリッジが必要で、双頭の専用プレーヤも開発されていました。これも、完全な再生は困難だったでしょう。
 
 本格的なレコードのステレオ化に際し、障壁となったのが規格の問題です。歴史の中ではままあることですが、イギリス・デッカによるV/L方式と、アメリカ・ウェストレックス陣営の45/45方式が対立してしまったのです。両方式の公開試聴会なども開かれ、最終的にモノとの互換性や将来性などの点で45/45方式が勝ると判断され、RIAAはこれを統一規格とすることを打ち出しました。これを受けたイギリス・デッカの態度は、誠に立派でした。彼等は、業界の秩序を維持するために、自分たちのV/L方式を潔く引っ込めたのです。
 
 ステレオ・レコードを作るためには、当たり前ですが、ステレオ録音された音源が必要になります。テープ・レコーダーのステレオ化はレコードに先行して行われていました。技術的には、ヘッドを複数にすれば良い訳で、ディスクのカッティングよりは容易だったのでしょう。レコード会社の中には将来を見越し、1953-1954年頃よりステレオでの録音を開始しているところもありました。(ドイツには、1944年頃のステレオ録音が存在しています)
 アメリカでは、1954年に録音済みのミュージック・テープ(もちろんオープン・リール)が発売されています。つまり、音楽ソフトのステレオ化は、レコード(1958年から)よりテープの方が早かったわけです。
Posted at 15:46 | 音の記録 | この記事のURL | コメント(2)

音の記録(8) [2008年09月13日(土) ]
 1881年8月、パリにて電気博覧会が行われました。この時、オペラ座から博覧会会場までの3kmの距離を電話回線で結び、カーボン・マイクと受話器による実況中継が行われています。これはあくまでも電話電送システムのデモンストレーションだったのですが、より多くの人に同時に聞かせるために、オペラ座の舞台には多数のカーボン・マイクが並べられました。実験中、2つのレシーバーを両耳にあて、別々のマイクから電送されれて来る信号を同時に受信すると、ステージ上の歌手の位置や動きが判るということで、センセーションを巻き起こしたと言われています。私の知る限り、人工的な機械を通じてのステレオ効果が確認された最初のイベントです。もちろんこれはリアルタイム電送であり、録音されたわけではありません。

 ステレオ録音の歴史も、実はエディソンまで遡ることになります。彼のイギリスでの特許出願の際には、「同時に発言した4人の声を1本のシリンダーに録音する」というアイディアが記述されていたそうです。これは音溝が4本出来るという意味だと思いますが、今で言うマルチ・トラック・レコーディングのことです。また、1910年パリでの「音の展覧会」では、ディスクの両面に刻まれた音溝を2つのサウンド・ボックスで同時再生し、ステレオ効果を得るというシステムが出品されました。しかしながらこれらは、あくまでも参考出品に止まるものであり、実用化されることはありませんでした。両面の同時再生など、スタート・タイミングと回転速度が完全に同期しないと音楽にならないわけですから、まともな再生は困難だったろうと思います。

 1本溝に2チャンネル分の情報を刻むという、実用化されたステレオ・ディスクの原型は、アダム・D・ブラムライン(1903-1942 写真)によって発明されました。イギリス・コロンビアの天才的技術者で、VL方式(縦震動と横震動とで2チャンネル化)と45/45方式(音溝の左右の壁で2チャンネル化)の両方を発明しています。ちなみに後者の音溝は、その後のステレオ盤と全く同じものになります。1933年頃にはカッター・ヘッドが試作され、かなりのテスト録音が行われたようなのですが、当時のSPというフォーマットの中では問題点も多く、結局商品化には至りませんでした。残念ながら、この音を私は聴いたことがありません。
Posted at 11:37 | 音の記録 | この記事のURL | コメント(0)

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